俺の携帯と色違いの可愛らしいピンクの携帯を
小石川に渡す

「ごめん母親の独断でピンクになった」


そう言うと

「ううん!凄く嬉しい!」

小石川は笑った

どうやら俺は小石川のこの笑顔に弱いらしい

今まで何人も彼女は出来たけど、こんなに温かい気持ちになるのは初めてだった


店を出るともう辺りは薄暗くなっていた


「もう暗くなっちゃったね」

「送っていく」

俺がそう言うと小石川はまた笑顔になる

「先輩のお母さんとっても優しいですね」

「んーそうかな?」

「羨ましいです!」

「小石川の御両親は?」

「私の両親離婚してるんですよ」

「あ……ごめん」

俺も陸斗のことは言えないな……

「ううん!いいんです!本当の事だし……
だから、温かい家庭って凄く憧れるんです!」

「そっか、今度家に遊びに来いって母さんが」

「是非行ってみたいです!今日のお礼もしたいし!」

小石川は数時間前と違ってよく話してくれるようになった

「あ、うちここです!上がります?」

突然の小石川の言葉に驚く

携帯を持っていないあたりから気がついて居たけど……

小石川は家にあげる意味をわかっていないと思う


いや、絶対にわかっていない


「小石川……一人暮らしの部屋に簡単に人をあげちゃダメだよ」

「え?そうなんですか?」

ほら、やっぱり

「そうだよ、だから今日は帰る」

「はい、先輩本当に今日はありがとうございました!これから宜しくお願いします!」

「一葉、陸が言ってたろ?付き合うなら名前で呼ばないと」

「……はい!一葉ありがとう」


小石川は今日1番の笑顔でそう言った


「また明日、三葉」



何度も手を振る三葉が部屋に入るのを見届けて俺は家に帰った