──次の朝、耕平は匠が校長室に呼ばれた事を健から聞かされた。校長室が見える通路で二人は匠が出てくるのを待っている。

「怒られているのか」

「今まで怒られたことないよ」

 健の言葉に耕平はマジなのかと目を丸くした。

「あれだけの事をしておいて、怒られた事がない?」

「え? なんかした?」

 こいつ、まるで自覚がない。そんな事があり得るのか? いや、こいつならあり得る。いくら将来、有望な二人だからって校長先生は甘すぎる。

「池の水を抜いたのは」

「清水先生の子どもが、お母さんの形見を池に落としちゃったんだから拾わなきゃ」

 形見は大事なんだよ。

「うぐ……」