聞き返した健に匠はしれっと、

「彼、食堂長の親戚らしい」

「はあ!?」

「働いていたのは中華料理店だけどね」

「こことはまったく関係ないじゃないか!」

 こんなのばっかりか! 耕平は広い食堂で叫びを上げた。

 そうして首なし幽霊は匠の指導で手首の返しをマスターし、満足したのか元気に成仏するのだった。

「つまらないね」

 匠は口の中でつぶやいて、やや目を眇める。

 もっと面白いと思っていたのに、こうもあっさりと逝ってしまうとは時間が余ってしまった。

 仕方が無いと匠は健と耕平に向き直る。

「君たちは寮だったよね」

「うん」

「お前は家だったな」