──匠たちは東の階段をのぼり、二階の奥に向かった。

 この学園は先にも述べたように、十字の形の建物になっていて、四方がきっちり東西南北に向いている。

 その時点で何か宗教か心霊めいた印象は否めないものの、さしたる理由があるようでもない。

 どこにもそれらしき情報の欠片すら見受けられないところをみるに、結論としては出来たからやってみた。

 その程度のものである事が窺える、遊び心満載の学園である。

「なんだって? さっきのは幽霊じゃなかったのか!?」

 健の説明に耕平が声を張り上げる。

 憑依されていたときの意識はまるでなく、悪夢を見ているような感覚にひたすら悩まされていたのだった。