──そうこうしているうちに、理科実験室の扉の前に三人は立った。例のごとく匠はコピーキーの束を取り出して鍵穴に差し入れる。

 木製の引き戸がきしみを上げて開き、身構えた三人は懐中電灯を手に足を踏み入れた。

「異常はなさそうだ」

「ちょっと待って。何か聞こえない?」

「聞こえるね」

 耳をそばだてていると、何やらギシギシとぎこちない音が近づいてくる。なんていうか、大きな木の人形を動かしているような、そんな音だ。

「匠、あれ」

 健の指差した方向に目を向けると、百二十センチメートルほどの人体模型がゆっくりとこちらに歩いてきていた。

「嘘だろ」

 耕平は驚愕に目を見開き声を震わせる。だが、三人はそれ以上の出来事を目にして無言で立ち尽くした。