「ボディスーツ?」

「薄くて丈夫で通気性も良いんだって」

「へえ」

「オヤジさんの趣味だよ」

「父親の?」

「匠の親父さん。元自衛官だから」

「え、そうなの?」

「あれ、知らなかった? どっかの国の救援に行ったときに、大きな怪我しちゃって退職したんだってさ」

「そうなのか」

 耕平は驚いて匠の背中を見つめる。

 彼の父親は居酒屋を経営していると聞いてはいるけれど、元自衛官だったとは知らなかった。

 周防匠の父親、周防 昭人(すおう あきと)は、駅の近くに妻のすみれと居酒屋を営んでいる。二階と三階が住居となっており、地下にはジムがある。

 繁盛しているのは器量の良い妻と自衛官OBのたまり場となっているためだろう。