「まだ二人じゃん」

「三人のうち二人もだぞ」

 確率が高すぎる。しかし、よくよく考えると七不思議とはそういうものかもしれない。事象については噂されても、その真相は誰も知らないのだ。

「完成」

 匠は何もない両手を二人に見せる。

「……。何を作ったの?」

「東京タワー」

 健の問いかけに、匠はそう答えた。

「一人では作ることが出来なくて、友達を誘いたかったんだそうだ」

「東京タワーって一人で作れなかったか?」

 耕平は怪訝な表情を浮かべる。

「東京タワーには、一人で作るタイプと、二人で作るタイプがあるんだよ」

 言いもって立ち上がり、視線を徐々に上げていく。

「成仏したの?」と健。

「そうらしい」

「次はどこだ?」

 問いかけた耕平に健が目を見張る。

「あれ。乗り気じゃん」

「違う。こんな馬鹿馬鹿しい事は早く終らせたいだけだ」

 幽霊なんか信じられるか。耕平は言い放ち体育ドームの扉に向かった。