「今度は体育ドームに行くの? 校舎をいっぺんに終らせた方がよくない?」

 西の体育ドームに向かおうと言った匠に健は首をかしげた。

「楽しみは最後にとっておきたい」

「人助けじゃなかったのか」

 というか。こいつは何に気付いて、何を知っているのだろうか。何かを知っていなければ、そんな言葉は出てこない。

 体育ドームは校舎の一階と屋根でつながっている。雨の日でも濡れずに行けるようにとの心憎いはからいだ。