──学園の南側に、そのプールはある。

 二十五メートルプールのコースは五つ。床には暑さで熱がこもらないタイプのタイルが敷き詰められている。

「あ。あそこ」

 健は第一コースに見えた青白い光を指差した。

「そこの少年。逃げないでくれたまえ」

「普通に引き留めるのか」

 耕平は、平然と左手で手招きし揺らめく光に歩み寄る匠に呆れてその様子を眺めた。

「相変わらずのバカだな」

 僕にはただの薄ぼんやりした青白い光にしか見えないけど、あいつには少年に見えているのだろうか。