「企てるなんて、やだなあ」

「我々は人助けをしているんだよ」

「人助け?」

 耕平の片眉がぴくりと上がる。

 こいつの人助けなんてロクなもんじゃない。今までこいつがしてきた事を思えば、人助けなどという善意的なものではなく、単なる好奇心からだ。

 常に自分の上をいく成績の匠に、耕平は少なからず妬みを抱いている。

「乗りかかった船だ。君にも手伝ってもらおう」

「ちょ──!? 待て、待って! 乗りかかってもいないぞ僕は!」

 匠の言葉に、健は有無を言わさず耕平の首根っこを掴んで引きずっていった。

「あれ? 理科実験室じゃないの?」

 目的の場所とは異なる方に足を向けた匠に健は小首をかしげる。

「うん。やはりプールから行こう」