そのおかげでどちらに行くのか解らなくなり、彷徨う学生があとを絶たない自爆的な状況となっている。

「おい! そこで何している」

 突然、背後から声をかけられ振り返る。

 そこにいたのは──

「生徒会長か」

「あ。斗束(とつか)だ」

 銀色のフレームのメガネを左の中指でずりあげ、生徒会長の斗束(とつか) 耕平(こうへい)は二人をジロリと睨みつけた。

「君こそ、こんな時間にどうしたんだい」

「僕は予習で遅くなったんだ」

 あまりに集中していたため、先生に声を掛けられなければ外が暗くなっていたことにも気がつかなかった。

「お前ら。また何か良からぬ事を企てているんじゃないだろうな?」