「これでも、俺にとったら鳰さんが一番の女友達なんですよ」

「……と……友達」

 鳰さんはオウム返しに呟くと、俺を見上げた。

「すみません、友達って言い方はあれか」

「……う、ううん。友達……」

「友達って言ってもいいんですかね」

「……はい」

 また消え入りそうな返事。

 だが、頷いた鳰さんはそれ以上何も言わずに、アパートの目の前まで到着した。