次の日。

遥斗は、真っ先に俺のところへ来て、
「昨日はどうだった!?」
と、俺の肩をめちゃくちゃ揺らしてくる。

「いや、部活の勧誘だよ」
「何部から?」
「バスケ」

バスケ...。それは俺の中学時代を思い出させてくれるスポーツだ。

俺が小六の頃、俺はバスケ大好き人間の兄の試合の応援に行ったんだ。
その時、俺は見たんだ、かっこよくシュートを決める兄を。
バスケは5人。兄は1年生でその中の1人に入って、たくさん何本もシュートを決めた。
それから俺は、興味を持ち、バスケを始めた。

...そんな兄が、俺のせいで...。

「葵威?」
くそっ、バスケ...。そんなの一生やりたくもない!
「葵威...?大丈夫かぁー!!!」
「わっ、ごめん。」
「お前な、自分の気持ちに正直になれ?」
...お前に何がわかるんだよ、兄がいなくて、でも、でも、兄がいないバスケなんてしたくないことを。
「本当はやりたいんじゃないのか?」
「うるせぇ、黙ってろ。」

くそっ、くそっ、くそっ。

本当はやりたくてやりたくて仕方ない。でも、怖いんだよ。俺。
自分で兄を殺して、自分だけ好きなことをやってて。
そんな弟、許してくれるはずがないよな。

「ゆっくりでいいと思うよ。俺も、応援すっからさ。」
「...、うん。」