いつも通り、俺と遥斗で靴箱へ向かっている時だった。
「ん?なんだろこれ。」
と、1枚の紙が入っていた。
「何がなんだこれなんだよ?」
と、遥斗が顔を出す。
「『今日の放課後屋上に来てくれませんか?』だって。誰が行くかっつーの。」
「告白かもよ?」
んなわけ...って思ったけど、ちょっとは有り得なくはない。
「お前この前彼女欲しがってたから、言ってみれば?」
...まぁ、そーだけど。
いざ目の前にするとちょっと...て感じだ。
「行ってみるだけ行ってみる。」

そして放課後。
屋上に向かって足を向けた。

ガチャ、
「あ、新城 葵威...さんですか!?」
と、女子。
「そーですけど、何か...?」
「私、2年の、バスケ部のマネージャー、柊 日和、なんですけど、もし良かったら、バスケしませんか!?経験者ともお聞きしていたので...。」
...バスケ...かよ。

俺は中学時代、バスケが大好きだった。

兄に誘われ初めてみて、凄い感動を覚えたんだ。

けど、あの事故で、兄をなくしてから、バスケをやる気はこれっぽっちもなかった。

兄がいないバスケなんか楽しいわけが無い。
そう思うと、やる気がしないんだ。

「すみません、せっかくの誘い、俺はバスケをする気は無いんです。」
「そっかー!ありがとね!気が向いたらいつでも来なねー!」

...気なんて向かねーよ。

兄さんがいないバスケなんて、絶対に。