ピッピッピッピッ...。

声が聞こえる...。

「母さん...?」
「葵威っ!?良かった、目を覚ましたのね…!」

ところどころ痛いところはあるけど、一応生きている。
その痛みが何よりの証拠だ。

「お前のせいで、あいつは、死んだんだ。」
と、俺を殴る父さん。
「やめなさいよ、あなた。葵威が生きていただけでも奇跡じゃないの...。」

...は?あいつが死んだ?
アイツって誰?

考えれば考えるほど頭が痛くなった。

「お前よりあいつの方が大事だったんだ。」
元々、俺と父さんは、仲良くなかった。
父さんは、成績優秀の姉を、運動神経抜群の兄、をたくさん可愛がっていた。俺なんかを無視して。
「なぁ、兄さんは?」
...自然と聞けた。
「死んだわよ...。車に引かれて、即死だったそうよ...。」
「俺、最後に聞いたんだ、お前は、生きろって、俺に言ったんだよ、兄さんは...。俺、兄さんの分までちゃんと生きるから、父さん、俺を捨てないでっ...くれっ!」
...姉さんや、兄さんみたいに愛されたい。
その一心だった。

「お前なんか、家族でもなんでもない。少しは反省しないか。」

その言葉は重くのしかかった。


...兄さん...

どうしたら、父さんに、認めて貰えるかな...?