10分くらい歩いて近くの小さな病院で点検。

「あらまーこりゃあ結構派手にコケたね?」
と、病院の先生か言う。
「痛っ…多分結構派手に転びました…」
「そう、とりあえず応急処置ね。彼氏、ちゃんと守ってあげるのよ?」
「あは、彼氏じゃないですよー」
と俺が言うと、恋華は、
「この人が、あたしのこと助けてくれたの。あたし、記憶がなくて…。気づいたらその場所のいて、」
「名前は?言える?」
「花園 恋華…です。」
恋華がそう言うと、先生は続ける。
「花園 恋華ちゃんね、とっても素敵な名前ね。何歳か言える?」
「…あたし、何歳…なのかな?先生…葵威…。怖い、あたしは誰なの…何者なの?」
恋華は、先生にしがみつくように聞いていて。

俺も恋華とは今さっき初めて出会ったからさっぱり分からない。だから何も情報がない。

「お兄さん、ここから近くの総合病院まで行ってくださる?紹介出しとくわ。多分この子記憶喪失どころか、何か怪しい匂いがするの。よろしくね。」
と髪に情報を全て書き込む。

「…。あたし、死んじゃうのかな」
「恋華、大丈夫。恋華は死なない。俺が死なせない。こんなに可愛い命を手放すわけにはいかないだろ?」
年上かも年下かもわからないけど。

俺は恋華が助かることを祈ってる。