入学式の始まる前。

着慣れない新品の制服を見にまとい

体育館へと繋がる武道場で私たち新一年生は

クラス発表と担任発表を行っていた

私のクラスは4組。

小学校の時の友達とことごとくクラスが離れて

気分は下がりながら

隣のクラスの列にならんでいた

友達の 三浦 悠香 (みうら はるか)と

アイコンタクトを取っていた


知り合い全然いないよ、、、。

友達できるか不安だな、、

そんな事を思っていると担任発表が始まった。



1組、2組、、と順番に前で先生が話していくが

誰一人として知らない私達は

下を向いたり横を向いたりしていた


「次、3組」

学年主任と思われるおばさんの声で

1人の男の人が前に出る。


特に隣のクラスの担任なんて気になるわけではなかった

自分の担任だけ知れればいい、と思いながら

下を向いていたのに

なぜか

その人の自己紹介へ吸いつけられるように

前を向いた


「えー。1の3の教室を持つことになりました。
楠本 直人です。
君たちはもう周りから決められる立場ではありません。
もう自分で判断をして、自分で行動をする歳です。
そこを踏まえた上で、楽しく、中学生活をスタートさせましょう。」


周りの生徒のざわめきなんて耳に入らなかった

ただ、その男の人の声が、姿が、

私の感情を掻き乱した。

背は170後半から180くらいだろうか

髪の毛はセットされていなくて

自然な感じで

スーツ越しでもわかる、程よい筋肉

真面目な顔をして話していたのに

最後の爽やかな笑み。

私のタイプがそういう人だったかどうかなんて

分からない。

ただ先生が、

先生しか、目に入らなくなっていた。