「お前、わかってんだろうな・・・」
俺の隣の席で、低い声を出すトヨさん。
マジでこえー・・・
仕事帰り、トヨさんは結婚してから寄り道なんて絶対しなかったのに、昔よく来ていたバーに連れてこられた。
まだメシも食ってねーのに・・・
はらへったぁ・・
「聞いてんのかよ。」
かなりご立腹なトヨさん。
原因はもちろん奈々。
「何がっすか。」
仕事上では先輩だし、今まで色々世話になったけど、プライベートまで仕切られたらたまんない。
大体、トヨさんの出す条件なんてのめるかよ。
「奈々はまだ高校生なの。」
「んなことわかってますよ。」
それ承知で付き合ってんの。
俺だって色々考えたんだから・・・
「卒業するまでダメだ」
「んなこと言ったって、最近の高校生なんて進んでますって・・」
なんて俺のセリフにわかりやすく眉がピクと動くトヨさん。
「奈々をその辺の高校生と一緒にすんな。」
更に低くなる声。
「まさかお前、もう手ぇ出したとかじゃ・・・」
この世の終わりぐらいの勢いで俺につかみかかろうとするトヨさん
「わーっまだですって!俺そんな手ぇ早くないっすっ」
焦る俺の言葉を聞いてオーバーリアクションで大きなため息を着くトヨさん。
って、尋常じゃないぐらいの過保護ようだよな・・・
奈々の口から俺と付き合いだしたって聞いてよっぽどショックだったようだ。
「大事にしますよ。俺、本気ですから・・」
「はぁ・・・・なんでなんだよ・・・」
「まぁ、どこの馬の骨かわかんないヤツよりいいじゃないですか。」
俺が軽くトヨさんの方をポンと叩くと
「ばぁか、お前だからイヤなんだよ。なんでお前なんかと・・・」
テーブルに置いたビールのグラスを見下ろすトヨさん。
正直、そのセリフ、ショックだよ。

