「けいちゃん・・・・・」



「あ!けいちゃん!奈々今から帰るって!もう暗いから送ってあげて?」



家の中から、玄関の外に居るけいちゃんに向かってお姉ちゃんが言った。



「えー、奈々、メシ食っていきゃいいじゃん。もう出来てんだろ?」



そういうトヨくんに



「奈々もイロイロ忙しいの!ね!」



おねえちゃんは私に笑顔で言う。




「いいっすよ。ちょうど車だし。」



「じゃ、お願いね!」



そういうと、お姉ちゃんはトヨくんを家に押し込んで玄関を閉めた。





玄関の外に取り残された二人・・・・





「じゃ、送りますか、お姫様」



にっこり笑うと、玄関の外に止まってる黒い大きな車に乗り込んだ。





車に乗って。





ほんの5分もしないうちに家に着いちゃった・・・




近い・・・近すぎるよ・・・・



もうちょっとドライブしたいなぁ・・・なんて思っちゃったり・・・





家の前に着いても動かない私を不思議そうに見て




「奈々?着いたよ?」



私の顔を覗き込む。




「あっ、うん、ごめん、ありがとう。」



「いえいえ、どういたしまして。」



「あ、あのっ・・」



私はかばんと一緒に持ってる小さな紙袋の紐をギュッと握り締める。



「んー?」



けいちゃんはポケットから取り出したタバコをくわえていた。




「あのっ・・・」




ダメだ、こんなに力んじゃったら、義理だって誤魔化せなくなる・・・




なかなか本題に入らない私を不思議そうに見つめる。









「これ・・・・」