「彼女は記憶をなくしてるんだ。
でも、なぜ記憶をなくしたかは
俺も知らない。本当に何も。
きっと彼女の中で話したくないんだよ。
大山、それを無理にきくのはよした方が
いい。きっと彼女は悲しむ。」

振られた人間がなにを言っているんだ。

「そっか。サンキュー河上。
ずっと不思議に思ってたんだよ。
記憶がないなら無理な話だよな。」

僕とは大違いだ。

どこまでも違う。

薫が大山を好きになるのが
分かる。

僕の何十倍も心が広い。