カタンコトン。

慣れない下駄に足元がおぼつく。

「今日はありがとう。
すっごく楽しかった。」

嬉しそうな比野さんを見ると
騙した気分になってしまう。

みんなとも別れ、1人になると
あの2人の光景が映し出される。

頭の中でかき消そうとしても、
消えてはくれない。

僕はまだ薫のことをくよくよ
悩んでいるのか。

男のくせに未練がましい自分に
嫌気がさした。