「風太くん?何ぼーっとしてるの?」

消えた音が戻っていた。

「え、あぁ。なんでもないよ。
あれ美味しそうだなぁって。」

何か感じ取られたかな。

「あっそ。あ、あれ行こう。
藤田くん、智花早くーー。」

動揺を隠すにも隠せているのか
不安だった。

心の奥にあった傷が少しずつ
また開いていくような感覚があった。

治したはずの傷が、痛み出した。