「そうだ。ちょっと付いてきて。」

連れてこられたのは雑貨屋さんだった。

文房具売り場の前で
人差し指を曲げ顎に乗せて
悩んでいた。

悩んだときにするいつもの癖。

「誰かにあげるの?」

「え、あ〜。弟にあげようかななんて。」

彼女は曖昧な感じで答えた。
弟なんかいたっけ。

「男の子ってどんなのが好きだと思う?」

「これとかどうかな?」

僕は目の前にあった黒い革のペンケースを
指差した。

彼女はそれを手にとって

「うん。いいかも。可愛い。」

なぜかあまりいい気はしなかった。