教師という職業も中々にして忙しい。

幸いなのは、恋人も同じ職場だってこと。

『颯太、もう帰れるか?』

職員室の入り口に立ち、帰り支度を
している恋人を待っている。

『うん』

まだ残っている他の先生方に
挨拶をして学校を出た。

仕事納めまで後一週間。

幼なじみでもある俺達は
毎年、正月は家族ぐるみの付き合いだ。


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◌正月当日◌

おせちを食べ終わった後は
ダラダラと特番を見ていた。

初詣は明日、二人で行く約束だ。

毎年、正月料理は
両家で分担して作っている。

その中でも颯太の作った
筑前煮は絶品だ。

今年も美味しかった。

翌日、約束通り、
近所の神社に初詣に来た。

新しいお守りを買い、
おみくじを引いた。

俺は小吉・颯太は中吉。

少々、中途半端だが
“凶”や“大凶”が
出るよりは遥かにマシだ。

こうして、俺達は
また、新しい一年を始める。

『美千景』

颯太に呼ばれるだけで幸せだ。

『帰ったらお汁粉食べようね』

それもまた、正月の楽しみの一つだよな(笑)

『そうだな』

来年も再来年もその先も
きっと俺達は一緒だ。

神社からの帰り道、
隣を歩く颯太を
盗み見ながらそう思った。

毎年、同じお願いをして、
感謝してまたお願いする。

その繰り返しだ。

“ずっと颯太の隣にいられますように。

そして、颯太が隣にいてくれますように。”

その願いは一生変わらない。

~end~