「隣のよしみにつけ込んでるみたいで悪いんだけど……これからも、美卯に会ってやってくれないか?」
「えっ?」
「やっぱ、男親と兄貴だけじゃまかなえない分、補ってくれる人が居てくれたら心強い」
四谷くんの真剣な表情を、じっと見つめる。
「ねぇ。必要なのは美卯ちゃんだけ?」
思わず口走った言葉に、四谷くんは驚いたように目を見開いた後、
「違う。一番必要なのは……俺だ」
遠慮がちに腕を取り、わたしを引き寄せる。
「愛都っ」
耳元で囁かれた名前に、
「好きだ」
甘い言葉が、重なった唇から全身に広がった。
ぎゅっと握られた手が、さっき貰ったマスコットみたい……。
「うんっ。わたしもだよ、翔卯くんっ」
不器用だけど、温かい手がずっと……わたしの手と繋がっていますように……。
-翔卯編END-