訝しんで首を傾げたわたしに、


「実際病院に行くところ見たって人が一杯いるんだから」


確信めいたように言い放つ。

更には、


「それに、ダブってるしね。四谷くん」


一年を二回やってる。
その理由が、ケンカで病院送りになったとか、バイクで事故って入院してたとか……様々な噂の起点になっているらしい。



本鈴のチャイムと共に着席するクラスメートたち。


始業式の日。
教室の入り口で会った四谷くんは、周りが言うようなギスギスとした雰囲気の持ち主では無かった。



(きっと、他に理由があるんだ……)


持ち主不在の机を見つめながら、わたしはそう堅く信じていた。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「あっ」


学校の玄関に入ったところで、わたしは思わず駆け足になった。


「おはよう、四谷くんっ」


少し息を切らし、笑顔で挨拶したわたしに、


「……おはよ」


四谷くんは、きょとんとした顔でわたしを見下ろしていた。