「カフェ バタフライ ウェイター三瀬 寅毅(みつせ ともき)」




足元に落ちていた小さなカードに書かれていた文字。


(これって……)


「あっ、一枚足りひんと思ったら……落としとったんか」



カード片手に辺りを見渡していたわたしに、人懐っこい笑顔を向けてくる人。


三瀬 寅毅くん。
明るくて、人懐っこい(主に女の子だけど……)クラスメート。

誰とでも仲良くなれる性格だけど、軟派で軽い……なんて評価を受けているのも確か……。


「三瀬くん」


「寅毅くんでええよ、愛都ちゃんっ」


こう言ってニッコリ、さっきにも増して笑う寅毅くんがウィンクを飛ばした。


(……相変わらず軽いなぁ)



「これ……」

話題を切り替えるように、わたしは持っていたカードを寅毅くんに渡す。


「これって名刺だよね?」


「うんっ。俺の商売道具。……駅前のカフェ バタフライって知らん?」



首を傾げて黙り込んだわたしに、寅毅くんは素早く名刺を両手に持ち直し、目の前に差し出した。



「ウェイターを指名して奢ってあげれば、一緒にティータイムが過ごせる画期的なホストクラブテイスト喫茶」