「あぁ! そうじゃなくて……良い奥さんになれるっていうか……」


しどろもどろで取り繕おうとする隆丑くんに、


「隆丑くんの?」


冗談めかして尋ねれば、


「いや、そういう意味じゃなくて……」


即否定されてしまった。

(冗談とはいえ、ちょっとくらい躊躇って欲しかったかな……)


なんて思ってしまう。


「わかってるよっ。隆丑くんにはもっと相応しい人がいっぱい……」


「違うっ」


笑って誤魔化していたわたしの言葉を遮り、


「隆丑、くんっ? っ!!」


躊躇い無くわたしの唇に、キスを落とした。


「愛都より相応しい人……俺には居ないから」


「……隆丑くん」



真正面からじっと瞳を見つめ、大切な言葉をひとつひとつ紡いでいく。



「だから……愛都もそうだったら、嬉しい……」


「もちろんだよっ」


隆丑くんが言い終わるや否や、わたしは勢い良く彼の胸に飛び込んだ。



「わたしに相応しい人は……隆丑くんだけだよ」





わたしも市原くんに負けないくらい、隆丑くんを支えられる人間になりたい。



お互い、かけがえの無い存在に……。




-隆丑編END-