~エピローグ~


今日はサッカー部の午前練習の後、二人でお買い物に行く約束をしていた。



「隆丑くんっ」


学校の近くの公園。
ベンチに座って待っていたわたしの元に、


「ごめんっ。待たせた」


「ううんっ。お疲れさま。……はい」


スポーツバッグを提げた隆丑くんが、一目散に駆け寄ってきた。


「えっ?」


わたしに差し出された水筒に、隆丑くんは不思議そうに首を傾げる。


「蜂蜜レモンだよ。炎天下の中でスポーツしてると、ビタミンが減っちゃうんだって。だから、水分補給も兼ねてドリンクにしたの」


わたしの説明にポカンと口を開けている隆丑くんに構わず、


「こっちはお弁当で……どうかした?」


更に差し出したお弁当に、隆丑くんはますます呆然とわたしを見ている。


「いや……上総って母親みたいだなって思って」


「…………」


(母親……か)


まさかお母さんに例えられるとは思わず、今度はわたしがポカンとする番になっていた。