『The story of……』

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今日の放課後は、担任に頼まれたクラスのアンケートを集計する仕事を頼まれていた。


職員室から預かってきたアンケート用紙を抱え、教室に戻ってきたわたしの耳に聞き覚えのある話し声が聞こえてきた。



(市原くんと二塚くんだ)


「隆丑。悪いけど部活遅れるって言っといて」


スポーツバッグを抱えた二塚くんが、自分の席に座った市原くんを訝しそうに見つめている。


「……諫音、張り切ってるな。委員の仕事」


試合前だから部活を優先させてって言ったのに、市原くんは少しくらい大丈夫だと言って残ってくれていた。


(やっぱり、部活に行ってもらおう)


そう思って、教室に入ろうとした時だった。


「張り切ってるっていうか……相手が当たりだったから」


(えっ……)


サラッと答えられた市原くんの言葉に、思わず足が止まった。
正面にいた二塚くんも、同じくらい驚いた顔をしている。



「当たりって……上総のこと?」


「そう。気遣いの出来る良い娘だよ」



胸がトクンと高鳴っていく。
優しい顔をしてわたしのことを話す市原くんの向かいで、二塚くんの表情が曇った。