『The story of……』

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わたしの心配は、更に悪化していった。


「えっ? クラス委員を辞退?」



担任からの呼び出しで、放課後の職員室に出向いたわたしを待ち受けていた一言。
市原くんがクラス委員を辞退したいという申し出だった。


「一応、保留っていう形にはしてるんだが」


「…………」



映画の翌日に感じた市原くんの違和感。


「まぁ、本人がそういうなら……後任を探しておいた方が良いかもしれんな」



職員室から出た後も、ずっと担任の言葉が頭から離れなかった。



クラス委員辞退。

短い間とはいえ、一緒に仕事をしてきたわたしに、何の相談もなく……。



「……違う」


(わたしだから言わなかったんだ……)


市原くんが映画に来なかったのも、クラス委員を辞退するのも……わたしだから。



(わたし……市原くんに嫌われちゃったんだ……)



確信した途端、涙が溢れ出した。
こんなにも辛くて苦しいのは……わたしがきっと、市原くんを好きになってしまったからだ……。




(市原くん……)