「じゃあ、クラス委員頼んだぞ。市原、上総」


珍しく担任の先生に呼ばれ、職員室に向かったわたしを待っていた一言がこれだった。



(クラス委員なんてちょっと面倒だな……)


職員室を出るなり小さくため息をついた。
すると、


「災難だな、お互いに」


隣に居た市原くんが苦笑いを浮かべて、こちらに笑いかけている。


同じクラスの市原 諫音(いちはら いさね)くん。
わたしと同じ、面倒を押し付けられたパートナー。

市原くんとは出身中学が一緒だけど、同じクラスになったことも無く、接点は無かった。


「とりあえず、よろしく。上総」


こう言って市原くんが爽やかに笑う。


(同じ歳なのに、落ち着いてるなぁ……)


「うんっ。よろしくねっ」


そんなことを思いながら、わたしは市原くんに微笑み返して頷いた。



(市原くんとならきっと、クラス委員も上手くやっていけるよねっ)



こうして、わたしのクラス委員としての日々が幕を開けたのだった。