あまりにとっさの行動だったせいか、わたしに腕を掴まれた聡利くんは、


「な、な、なんですかっ」



完全に全身硬直状態で固まってしまっている。



(いきなり過ぎたかな?)




何故か頬を真っ赤にさせた聡利くんが、しどろもどろしながら目を泳がせる。



そんな彼を安心させようと、出来る限り自然に微笑み、



「ボタン、取れかけてるからつけたげるっ」



スカートからソーイングセットを取り出してみせた。



そこで漸く正面からの聡利くんの視線と重なり、



「あっ、いや……」


何やら言いたげに口ごもった聡利くんは、ますます頬を赤らめていく。



「ちょっと制服貸して?」


「いや……結構です」


制服に手を伸ばしたわたしを避けるように、聡利くんは素早く後ろに後退り。



「でも、取れちゃうよ?」



それに合わせてわたしの足も一歩前へと進めていく。



「いや、……帰ってから直しますから」



「…………」



聡利くんが一歩下がれば、わたしが一歩前へ……。