~エピローグ~


三日間寝込んだおかげで、熱はすっかり下がり体も気分もすっきりしていた。



そしてわたしは、優申先輩からの呼び出しでまた放課後の旧音楽室にやってきていた。



そこで先輩が黙って差し出したのは、更紗さんからの手紙だった。



戸惑うわたしに、優しい笑顔で頷く先輩に促され、目を通す。



綺麗な字で丁寧に紡がれていたのは、優申先輩への謝罪とピアノ教室で子どもたちにピアノを教えているという近況報告だった。



それと共に添えられていた写真には、小さな女の子とピアノに向かう優しそうな女の人が写っていた。


「綺麗な人ですね。優しそうだし」


(……この人じゃ、敵わなくても仕方ないな)



お礼を告げて返したそれらを、優申先輩は、


(あっ……!)


何の躊躇いもなく窓の外へと投げ捨ててしまった。



「優申先輩っ!」


「もう、僕には必要ないから」


呆気に取られるわたしに構わず、優申先輩はにっこりと笑っている。