~エピローグ~


あれから透未は、女の子からのお弁当を受け取ることは無くなった。



寂しげにする彼女たちに優しく、


「せっかく作ってくれたのにごめん」


謝る透未が、母性本能をくすぐると密かに話題になっていることは……本人には秘密だったりする。



そんな透未に呼び出されたわたしは放課後、無人の生徒会室であるものを差し出されていた。



「母親から、おまえに」


「わぁっ。ケーキだっ」



様々なフルーツが山盛りに飾られたケーキに、手放しに喜んでいたのも束の間……。



「昨日の夜、張り切って作ってた」



最初の一口を口にしたところで思わず、フォークを握っていた手が止まった。



(お母さんの手作り……。意味深)



「最近、なるべく親と話すようにしてる。だから……俺がそんな風に変わったキッカケ聞かれて、おまえの名前出したら」



感謝のしるし、ということで、わざわざ腕をふるってくれたらしい……。