◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
こうしてわたしが八木くんを連れて来た場所。
学校の近くにある大型スーパーだった。
「八木くん、好きな食べ物ある?」
「…………」
ひんやりとした空気が充満した店内で、ちょっとばかり浮いた制服姿のわたしたち。
それにも構わずわたしは買い物カゴ片手に、手近な棚から品定めを始めた。
「やっぱりお弁当の定番って言ったら……ウィンナーかなぁ」
そんなわたしの一歩後ろで、呆然と立ち尽くす八木くんを見ないふり。
「なぁ」
「なに?」
「何やってんだよ」
「買い物だよ」
「そうじゃなくて」
ちょっと苛ついた口調に、棚から視線を八木くんに向けた。
「お弁当作るの。わたしが八木くんに」
あくまでも笑顔を絶やさず、わたしはますます訝しそうな八木くんの顔を見る。
「何か好きなおかずある? あっ、でも高いモノとか常識外れなモノは無しね」
手近な食材をカゴに入れながら、足を進めるわたしの後ろで、
「卵焼き」
小さく呟く声が聞こえた。
こうしてわたしが八木くんを連れて来た場所。
学校の近くにある大型スーパーだった。
「八木くん、好きな食べ物ある?」
「…………」
ひんやりとした空気が充満した店内で、ちょっとばかり浮いた制服姿のわたしたち。
それにも構わずわたしは買い物カゴ片手に、手近な棚から品定めを始めた。
「やっぱりお弁当の定番って言ったら……ウィンナーかなぁ」
そんなわたしの一歩後ろで、呆然と立ち尽くす八木くんを見ないふり。
「なぁ」
「なに?」
「何やってんだよ」
「買い物だよ」
「そうじゃなくて」
ちょっと苛ついた口調に、棚から視線を八木くんに向けた。
「お弁当作るの。わたしが八木くんに」
あくまでも笑顔を絶やさず、わたしはますます訝しそうな八木くんの顔を見る。
「何か好きなおかずある? あっ、でも高いモノとか常識外れなモノは無しね」
手近な食材をカゴに入れながら、足を進めるわたしの後ろで、
「卵焼き」
小さく呟く声が聞こえた。

