~エピローグ~


あの夜から数日後。


今日は放課後に匠巳からの誘いで、隣の市にある動物公園に遊びに行く約束をしていた。



だから匠巳を迎えに行くべく、三組の教室に向かっていたわたしは、


「匠巳くんっ」


机で帰り支度をする匠巳に群がる女子たちの姿に、思わず教室の入り口で身を隠してしまった。



最近の匠巳はこの間のクラスメートの女の子に限らず……色んな女の子に話し掛けられている。



しかも、



「ねぇ、上総さんと付き合ってるの?」


中にはこういうわたしとの仲を探る質問もあったりするから、迂闊に人前では匠巳に近づけなかったりする。


せっかく匠巳とのわだかまりが解消されたのに……一難去ってまた一難。


しかも、当の匠巳は彼女たちからの質問に、


「違うよ」


(即答……)


決まってあっさりと否定するのがお決まり。

それがどうにも切ない気持ちにさせられるのも正直な感想だったりする。



「なぁんだ、よく一緒に居るから……」


彼女たちもあっさり否定する匠巳の答えに、安心したように笑っている。


それを見る度に、自分には望みは無いのかな……なんて複雑な心境に陥ってしまう。


(……ちょっとくらい認めてくれてもいいのにな、わたしは)



「でも、大好き」


「えっ?」



小さく呟きながら椅子から立ち上がった匠巳を、彼女たちもわたしも面食らって目を丸くして見つめる。