満開の桜が咲き誇る季節。

出逢いの春。



進級に伴って行われたクラス替えは、わたしにどんな出逢いをもたらすのだろうか……。



そしてわたしは、出逢った人たちとどんな物語を紡いでいくことになるのか……。



不安と期待の入り混じった気持ちを携えて、わたしは新しい教室のドアをくぐった。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

教室に入るなり目に入ったのは、楽しそうに談笑する二人の男の子だった。


「隆丑(リュウゴ)っ。同じクラスだなぁ~」


「嬉しそうだな。諌音(イサネ)」


人懐っこい笑顔で笑うのは、市原 諌音(イチハラ イサネ)くん。


その傍らで、嬉しそうな市原くんに頷いているのが二塚 隆丑(フタツカ リュウゴ)くん。



わたしはこの二人と中学校が同じだったけど、同じクラスになるのは初めて。

二人は小学校からの親友で、自他共に認める仲良しだ。


中学時代には「デキてる」なんて、噂すら立っちゃうくらい……。


でも、そんな二人の仲の良さは憧れの対象になるくらい素敵だ。