極上御曹司に求愛されています


「修くんのことではかなり心配かけたし、よっぽど嬉しいんだろうなあ」

芹花はベッドの中でもぞもぞとしながらため息を吐いた。
芹花の恋人を礼美が奪ったと地元に知れ渡った時、綾子は仕事を休んで芹花のもとにすぐに駆け付けた。

『あの男に社会的制裁を加えてもいい? 会社に乗り込んで社長か誰かに全部言ってやる。それとも礼美の部屋に忍び込んであの子が大切にしてるハイブランドのバッグをナイフで切り刻む? 芹花を苦しめるなんて、私が絶対に許さない』

芹花を抱きしめた綾子が、怒りで体を震わせていたことを、芹花は今も覚えている。
修に振られて落ち込み、休日には部屋に閉じこもっていた芹花だが、涙をあふれさせ顔を真っ赤にしている綾子の方がよっぽど参っていた。

『芹花のことを傷つけたら、私が黙ってないんだから』

何度もそう言って芹花のために号泣する綾子の優しさが、ふさぎ込んでいた芹花の心に響いた。