極上御曹司に求愛されています


なんだか綾子にのせられてしまったかも、と思いながら芹花は拗ねた声で呟いた。
いつの間に自分に新しい恋人ができたのだろうと落ちこむが、今の綾子相手に話の流れを変えるのは難しい。
それに、今は綾子をはじめ同級生たちが礼美の披露宴に出席することの方が先決だ。
意識の片隅に悠生の顔がちらちらと浮かぶが、それをどうにかやり過ごす。

『そうだ、私が芹花に恋人ができたって言っても信じない子がいるはずだから、その新しい恋人の写真を送ってよ』
「えー、写真?」
『そう、写真。あるでしょ?』
「写真は……えっと」

催促するような綾子に芹花は口ごもり手の中のスマホを見つめた。
スマホには、夕食をごちそうになった時に悠生と二人で撮った写真がたしかにあるのだ。

『結婚式の前に友達にこの写真を送って、とっくに極上の恋人がいるんだって自慢しておけば?』

写真を撮りながらそう言った悠生の言葉を思い出し、ハッとした。