極上御曹司に求愛されています


『ねえ、芹花の新しい恋人はどんな服装が好みなの? 芹花を選ぶくらいだから面食いなんだろうけどさ』
「だから恋人なんていないんだってば」

芹花に新しい恋人ができたと綾子が誤解していることを思い出した。

「恋人なんていないって。私はただ、格好いい男性っているんだなって思っただけで」

次第に小さくなる声に反比例して、芹花の心に悠生の顔が大きく浮かんでくる。
顔も熱くなるのを感じ、赤くなっているに違いないとドギマギした。

『やだなあ、そんな照れた声で嘘をついてもばれるんだから。顔もまっかっかになってるんじゃない?』
「そんなこと、ない……」

芹花は慌てて両手を頬に当てた。

『芹花がそんなかわいらしい声で照れるなんて、よっぽど相手のことが好きなのね。だったらその恋人に選んでもらえばいいじゃない。そうね、みんなにも言っておこうかな』
「え、なにを? だから、余計なことは言わないでってば」
『余計なことじゃなくて嬉しいことでしょ。芹花にはもう馬鹿野郎オトコよりも素敵な恋人がいるとなれば、みんな礼美の披露宴に渋々ながらも出席するだろうし、ワインをぶっかけることもやめるだろうしさ』
「……それとこれとは話が違うと思うけど」