四回のお色直しや著名人たちからのお祝いのスピーチが続いた披露宴もお開きとなり、芹花は同級生たちと会場を出た。
見送りに立つ新郎新婦に芹花が「お幸せに」と声をかけた時、二人は相変わらず気まずそうにしていた。
仕方がないかと、芹花はため息を吐いた。
互いのわだかまりを完全に捨て去って仲良くできるとは思っていないが、もういいだろうと、芹花は感じている。
修と礼美が芹花を傷つけたことは褒められたことではないが、この数年、礼美が同級生たちからやんわりと距離を置かれていたのも事実なのだ。
今回の披露宴でも、受付やスピーチ、そして二次会の司会、すべてを綾子に頼むしかなかったことからも、礼美の立場が理解できる。
きっと苦しんだはずだ。
だから、もういいのに、と思いながら芹花は会場を後にした。
芹花は、そう思える自分にホッとし、人生のひとつの角を無事に曲がることができたようにも感じた。
「それにしても、社長令嬢の引き出物はどれだけ重いんだろう」
ホテルのロビーを歩きながら、芹花は綾子と苦笑し合う。
引き出物が入った重い紙袋を手に、高いヒールで歩くのはなかなか大変だ。
「芹花と木島さんの結婚式の時にはもう少し軽いものにしてよね。でも、きっと目が点になるくらい高価な引き出物だろうし、これより重いかな」
「それは、まだまだ先の話だから……この間も、顔合わせをしたばかりで」
綾子の言葉に、芹花は照れて顔を真っ赤にした。
悠生の記者会見の後、成市が芹花の家族に挨拶をしたいと申し出た。
芹花の家族になんの挨拶もしないまま、マスコミに向けて悠生の件を発表したことを気にしていたのだ。

