極上御曹司に求愛されています


『彼女たちのことは、私も大切に思っているので、私の名前を利用したいというのなら、一向に構いません。それで彼女たちの夢が叶うのなら私も嬉しいですし。それに、私だって今の私に木島家の人間だという魅力しかないのであれば、それを最大限に利用して惚れた女を手に入れます。欲しい物を手に入れるための努力を責める権利は誰にもありませんからね。そういう意味では、売名行為に利用されるほどの価値ある男で居続けたいと思っています』
 
悠生は迷いのない言葉でそう言い切ると、極上の笑顔を浮かべた。
その瞬間、大量のフラッシュが光り、女性記者たちから悲鳴のような声が上がった。
芹花も画面いっぱいに映る悠生の顔を見つめながら、体中が熱く震えていた。
きっと、この記者会見で悠生が話したことは一生忘れないだろうと思い、録画しておけばよかったなと思った。
悠生の発言を何度も見返したいと思い、悔しさも感じていたが。
そんな悔しさなど吹き飛んでしまうほど、記者会見の模様は何度もテレビで流れた。
深夜の報道番組に始まり、翌朝のワイドショーでも記者会見の話題が取り上げられ、芹花はできる限り録画した。
新聞にも悠生の顔が大きく掲載され、〝惚れた女を手に入れる〟というワードがネット上でトレンド入りを果たすなど、かなりの話題となった。
おかげで週刊誌に掲載された記事についての後追いはほとんどなく、木島グループの次期後継者についての話題がそれに取って代わった。
もしかしたら、悠生はこの展開をあらかじめ予想していたのかもしれない。
芹花は密かにそう思っているが、悠生に聞いても否定されるに違いなく、何も聞かずにいた。
きっと、間違いないはずだと、悠生の優しさに心ときめかせながら。