僕はその瞬間、なにもできなかった。

まぶたが閉じれない。指が動かない。
痛い。痛い。
喉が渇く。痛い。

目の前にさっきまでの笑顔の欠片もない
彼女の顔らしきものがみえた。
飛び散る赤。ドクドクと流れ続けるドス黒い色。
周りに飛散するガラスの破片。
叫ぶ人々の声。泣き叫ぶ子供。

僕の大好きな彼女はどこだろう?
ねぇ、誰か教えてよ。
僕を彼女のところまで連れて行ってくれよ。

そんな願いさえ叶わないまま
さっきまで動かなかった僕のまぶたが重く
のしかかってきた。