「ねぇ、エッチしない?」

恋人同士になって優香里は翼を良く誘ってくるようになった。

「怖い?」

「そりゃあ、した事ないから怖いよ。」

「しないなら別れる。」

「分かったよ。」

「でも…。」

その後の話は覚えていない。

優香里の両親が不在の時に家でしようと言われた。

ベッドで優香里は翼を待っている。

翼は、

知らないはずなのにしっくりくる。

「もっと強く抱きしめて…。」

泣くような小さな声で優香里は言った。

「ねぇ、した事あるんじゃない?」

優香里に聞かれた。

「無いよ。」

不思議と体が動いた。

ベッドの中で抱き合った。

「やっぱりわたしには翼だな。」

「俺も同じだよ。」

「どこに、転校するの?」

「海外だよ。」

2人は、ベッドの中で話した。

「海外か…。お父さんの仕事?」

少し優香里は考えて

「そうだよ。」

と答えた。

「遠いね。」

高校生の翼には優香里を繋ぎ止める力はなかった。

「翼、わたしを忘れてね。」

「何で?」

「だって…。翼の人生もあるし。」

「そっかあ、でも優香里を忘れるなんて出来ないよ。」

翼は、夢を見た。

優香里が自分とは違う男と楽しく歩いているのを。

優香里は、大人っぽくなった容姿をしていた。

優香里にはお似合いだった。

やっぱり俺じゃあ無理なのか?

目を覚ますと優香里が翼の腕にくっついて眠っていた。

翼は、優香里を抱きしめて寝顔を見つめてキスをした。

愛しいのに切ない。

優香里は、詳しい事は教えてくれなかった。

聞かれたくないという顔をされると翼も聞けなかった。