優香里は、2年間治療してやっと病院の外に出られた。

病魔に負けたくなかった。

優香里のための引っ越しだった。

都心の中にある病院は近代的で何故かおしゃれだった。

闘病中は、基本的に母親が看病してくれた。

「翼君にさよならしなくて良かったの?」

「さよなら言ったらわたし病気に勝てないと思うから。」

母は、呆れたようにため息をついた。

高校は通えないので大検を取った。

翼がT大学を受験するのは何となく勘で分かっていた。

あなたは寂しくないですか?

わたしは、毎日、心で泣いています。

あの時、話せば良かった。

本当の言葉で表す事が出来てたら

こんなに苦しむ事はなかったのに…。

約束なしの再会を祈っていた。