愛を知らない君へ


~湊音side~

俺は無性にあの女の事が気になった

俺の顔を見ても騒ぎ出すような真似はせず何かを必死に隠すように走っていったあいつ。

今まで女には全く興味がなかったが、あの女は今までの女とは違うと思った。

そしてあいつの顔


あの何もかも諦めたような目を、それを隠そうと必死に笑顔を作る姿を

救ってやらなければならないと思った。

あれから屋上に着いた俺は奏に声をかけた。

湊 「おい、奏」

奏「なに?」

湊「あいつの事調べろ」

奏「え?なんで?」

湊「いいから」

奏「はぁー。分かったよ」

湊「頼んだ」

こいつは情報収集が得意だからな

こいつに任せればすぐ出てくるはずだ。

奏「湊音、出てきたよ」

さすが俺の仲間だ

湊「どうだった」

奏「彼女の名前は、夜桜蘭(よざくら らん)
家族構成は弟、妹、父で母親はいない。
本人の性格はいつも明るくて
笑顔を絶やさず常に周りに友達がいる。
僕らには関わりそうもない子だね」

いつもあんな無理な笑顔を作ってきたのか?

今までずっと?

だとしたらもうあいつの心は限界だろ

湊「あいつ、俺らの仲間にする」

奏「え、なんで?」

湊「あいつ、無理に笑ってた。それにさっき掴ん
だ腕も細すぎて折れそうだった。飯も
ろくに食ってないんだろ。」

奏「そうなの?やっぱりあの笑顔は嘘だった
のか。」

奏も気づいてたのか

あんな奴初めて見た

絶対、俺が、俺らがあいつを救ってやる