ピピピピピッ

目覚まし時計の音で目を覚まし、時計を見ると


もう5時半になっていた。


重たい体を動かして、ゆっくり準備する。


そして、鏡の前に立って、笑顔を作る。


「大丈夫。私はまだ笑っていられる。」


そう自分に言い聞かせて、バイトに行くため、家を出る。


バイト先に着くと、すでにおばさんが居て、

私は、


「おはようございます!
今日もよろしくお願いします!」

と笑顔で挨拶をする。


すると、


「あら、蘭ちゃんおはよう。
じゃあこれ、よろしくね。」

と言って、新聞を渡された。

「はい!行ってきます!」


そして、私の新聞配達のバイトが始まった。


途中で何度か倒れそうになったけれど、


限界の体に気づかない振りをして、もくもくと作業を進める。


やっと、終わったと思い、ケータイを見ると、


もう7時半になっていた。


急いで家に帰って、学校に行く準備をする。


朝ごはんを食べる余裕なんて私にはない。


急いで家を出ると、ここから15分くらいの学校へ向かう。


校門が見えてくると、もうHRが始まるギリギリの時間だった。


昨日は入学式をサボってしまったから、


今日は何としてでも出たい。


そう思い、急いでいると、


入学式の日にぶつかった男の人がいた。


よく見ると他にも人がいた


誰かを待ってるのかな?


と思いながら、とくに気にすることも無く、門を抜けようとする。



すると、私はその男の人に肩を掴まれて、


「おい」


と声をかけられた。


まさか私を待っていたとは思わなくてびっくりしてしまう。


私、男の人は苦手なんだけどなぁ


まぁ、そんなところ絶対見せないけど。


「はい、なんですか?」


そう笑顔で言うと、


「ちょっと来い。」


と言って、私の腕を掴み無理やり車に乗せられた


あれ、誘拐?


私の頭はプチパニックで。


これは一体どういう状況?


そう思っていると、


「いきなり、ごめんね、
俺は如月 奏(きさらぎ そう)
こっちは、月島 湊音(つきしま みなと)
君の名前を聞いてもいい?」


そう、如月さん?が言ってきたので、


「夜桜 蘭です。
よろしくお願いします?」


と、最後が疑問形になったことは許して欲しい。


私はこの状況が未だに理解出来ず、


「如月さん、
私はどこに連れていかれるんですか?」


と聞けば、


奏「倉庫だよ。俺らのたまり場。
俺らの事、しってる?」


と、聞いてきたので、


「すみません、知らないです。」


と言うと、


奏「そっかそっか。
俺らはね、全国1の胡蝶っていう
暴走族なんだけど、昨日、蘭ちゃんと
湊音が一緒にいる所を見られちゃってね。
ほかの族から蘭ちゃんが狙われてるから
俺らに蘭ちゃんを守らせてほしいんだ
俺らの姫になって欲しい。」


姫って何?


守るって何?


とりあえず私が危険な状況にいることは分かった


「あの、姫ってなんですか?」


奏「そっか、それも知らないんだね。
姫っていうのは、俺らの守るべき存在のこと

ほかの女の子達は喉から手が出るほど欲しい
地位なんだよ」


そうなんだ。でも、私は違う。

私は守って欲しいなんて思わない。


「そうなんですか。でもごめんなさい。
私は姫にはなれません」


そう言うと、如月さんはびっくりした顔をして、


奏「え?どうして?」


と聞いてきた。


「私は守られるような存在ではありません。
それにもしも私が危ない目にあっても、
それは私の責任です。如月さん達に迷惑は
かけられません。」


そう言うと、今まで黙っていた、月島さんが


湊「これは決定事項だ。
お前に拒否権はない。」


と言ってきた。


そんな、無茶苦茶な。

私は、


「いやです。」


と言った。


けれど、月島さんは、

湊「ダメだ。」


と折れてくれそうにない。


はぁー。とため息を着いていると


奏「ごめんね、蘭ちゃん。
この車に乗ったところも見られちゃったかも
しれないし、なにより、湊音が君の事を
気に入っちゃったからね。諦めてくれる?」

そう如月さんが言った。

まぁ、もうめんどくさいし、拒否権ないみたいだし

しょうがないかな。


「はぁー。
分かりました、じゃあよろしくお願いします」


と言って、私は腹を括った。