決して笑顔とは言えない無表情で、私をじぃっと見つめる。

彼の…、相楽くんの、切れ長な眼と見つめあった瞬間、なんだか心臓が落ち着かなくなる。


「さむい、ね」

「うん。冬だし」


やっとの思いで紡いだ声は、会話を続けることなんてできなくて。相楽くんの視線はケーキを買いに来たお客さんに向けられた。かわいらしい女性のお客さんの視線は、当然ながら相楽くんを見つめていて。

道行くひとも、並んでいるお客さんも。相楽くんを一度見て、ふわりと目で微笑む。なぜかって?それは私の知り合いがここに訪れる理由と同じ。

相楽くんが、とてもかっこよくて、綺麗だからだ。

相楽くんは私と同じ歳なのに、おとなっぽい容姿をしている。一番印象的なのは、涼やかに見える切れ長な目。それを縁取る睫毛も長くて、女子である私がうらやましく思ってしまうほど。

スっと通った鼻筋も、薄い唇も、鮮やかな黒髪も。全部がバランスよく欲張らずに端正な並びを崩していない。それに、雑誌のモデルみたいにスタイルも良くて。

同じバイトをしているなんて、おこがましく思えるほど、相楽くんはひとの視線を惹くような男の子。ヒエラルキーがあるとしたら、たぶん一番上の存在。


「みっちゃん」


ボーッとしていた私の目の前に、ひらひらと動く手のひらが現れる。