「俺、は、」

「ごめんね突然こんなこと言われても困るよね…ごめん」


相楽くんはいつもの無表情に戻っていて、言葉を迷うような仕草で目を伏せていた。

自分の気持ちを伝えたいだけで、困らせたいなんてひと欠片も思ってないのに。そんな顔をさせてしまったのは、私がいきなり“好き”と言ったせいだ。


「相楽くん?」


でも、どうして?
私は、相楽くんのことを困らせたいはずなのに。


「……顔、赤い、よ?」


どうして、そんなに赤い顔をしているの?


「…そんなことないでしょ」

「えっと…無理あるよ」


指摘すると、相楽くんは片手で顔を覆ってしまった。かすかに見える赤さに、好奇心が増す。だって、初めてだった。あんなに無表情で、あまり表情を動かさない彼の、赤く染まった顔を見るのは。

相楽くんが動揺しているところなんて見たことがなかった。今までクールな相楽くんしか知らなかった。だから、だろうか。一応なにも言ってないけど、内心めちゃめちゃ気になる。


「相楽くん?」

「ごめん、ちょっと見ないで」


顔を覗き込もうとした私に気づいた彼は、眉を寄せて、片方の手で私の目元を覆った。すこしひんやりとした大きな手。それが心地良い。